誰に死んでもらうか?【一般社団法人フリードデスク】

「誰に死んでもらうか?」を選ぶ、
かなり残酷な『トロッコ問題』
というモノがあるそうです。

二つの状況があります。


【状況1】
ブレーキの利かない暴走電車の
進路の先に5人の男性作業員がいます。
進路を切り替えると5人は助かりますが、
もう一方の進路の先にいる1人の作業員は
電車の下敷きになってしまいます。


【状況2】
同じく暴走電車の先に5人の作業員がいます。
線路の上の陸橋にいる太った男性を突き落とせば
その男性がブレーキの役割を果たし、
5人は助かる、という状況です。


「あなただったら、それぞれの状況で
5人と1人どちらを選びますか?」


という問いをすると、たいていの場合、
”対立する答え”が返ってくるそうです。


状況1では、5人を救うために
一人を犠牲にすると答えるのですが、
状況2では、5人を救うために
一人を犠牲にはしない。


というのが多くの人の回答です。


同じ「5人か1人か」を選ぶ問題なのに、
同じ人間の回答内容が変わるんです。

この違いはなぜ生まれるのでしょうか?

実は、科学的な解答を導き出した人物がいます。

ハーバード大の心理学者、
ジョシュア・グリーンという方です。

同氏によると、
状況1と状況2とでは使っている
”脳の領域”が違うらしいのです。


状況1の時に使った領域は、
「冷静に知的な推論を行うところ」。

状況2の時に使った領域は、
「情動や感情が大きく作用するところ」。



つまり、、、



太った男性を線路に突き落とすかどうかは、
感情的な拒絶や動揺が生じるため、
選択されない、ということです。


簡単に言うと、


道徳的活動と知的行動は、
脳の別々の領域で行われている
可能性が高い、という話ですね。


で、私がこのトロッコ問題を知って思ったのは・・・


歪んだ道徳的な態度が知的な活動を
妨害することもあるんじゃないか?

という事です。


たとえば、


「人を殺してはいけない」
「人をいじめてはいけない」


こういう事は子供の頃から家庭や学校の中で
自然に学んでいくものですよね。

異を唱える人は中々いないと思います。



じゃあ。


「貯金は大事」「借金は悪いこと」
「お金儲けは下品」「清く貧しく生きる」



といった価値観はどうでしょうか?

これらはどちらかというと、
知的で理性的な考えというよりも、
歪んだ道徳的視点に感じるんですよね。


「人を殺してはいけない」


という死生観と同列とは言わないまでも、
”なぜか信じて疑わない人”が多いように感じます。


「貯金は大事」
「借金は悪いこと」


という教えは、一側面としては
非常に大事な教えかもしれません。


でも、『ある一線』を超えた時、
その教えが本当に大事かどうか、
自分で考えなければいけなくなります。


『ある一線を超えた時』とは、
自分が信じている「価値観」や「正しさ」が
自分に不利益をもたらしていると自覚した瞬間です。


「コンビニおにぎりの値段たっけー。
物価どんどん上がってるな。
頑張って貯金してもそれ以上に
物価上がったらずっと生活苦しいままじゃん」



とか。


あるいは、

「今の収入だけだと貯金もろくにできないから、
老後はバイト生活になるかも。
俺、一生労働すんの?」

とか。例えばこういう時です。


理屈では「まずい」とわかっていても、
「そうは言っても貯金が大事」とか、
「借金して不動産買うなんて危険」
とか思っちゃうわけです。みんな。


これだけ預金金利が低い時代に、
資産形成や資産運用のための行動を
何も起こさない方がよっぽど危険なのに。


これまでメルマガやフェイスブック、
動画やセミナーを通して何度も資産運用や
投資の必要性をお伝えしてきましたが、
当然、伝わらない方もいらっしゃいました。

もちろん、私の力不足もあります。

ですが、それを考慮したとしても、
もし投資の必要性が伝わらない人がいるとしたら、
歪んだ道徳的判断が正しい決断の
邪魔をしているからなのかもなー。


と、そんな風に思ったのでした。


伝えるって本当に難しい!(笑)


自分の価値観を疑うのって、
難しいですがかなり大事だと思います。


PS:
ずっと紹介しようと思って忘れてましたが、
資産運用や金融に興味がある方はぜひ
『マネーショート』という洋画を見てみて下さい。

リーマンショックを題材にしたもので、
金融の世界についてかなりわかりやすく
解説してくれています。おすすめです^^



名前:大石 武
一般社団法人フリードデスク代表理事。
山口県下関市出身。食品業界、医療業界での会社員経験を経て、2015年に独立。その後、個人投資家としての活動を開始し、2016年には投資家コミュニティを設立。金融に強い日本人を輩出する為、日々個人投資家のサポートに励んでいる。

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